円が1米ドル155円付近まで値下がりしています。円安は、一昔前は日本は輸出国だから円が安いのは、海外からみて日本の商品が安いからよく売れて日本経済に有利だと言われていました。30年くらい前、日本の貿易収支は、毎年約500億ドル(約5兆円)の黒字というのを覚えています。 実は、昨年2023年の貿易収支は、輸入超過で約5.9兆円(400億ドル)の赤字でした。その前年2022年は、なんと22.1兆円(1473億ドル)の赤字だったのです。3年連続の赤字です。輸出国日本は、いつのまにか輸入超過の大赤字の国家になっていました。そもそも、石油などの資源の乏しい日本が輸出する製品も国内の消費も輸入に頼っている貧しい国だったのです。1ドル100円から150円になったということは、日本人の金融資産はドルベースで5割も減ったということです。いくら日本円を溜めても貧しくなって当たり前です。 一方、日本が安くなったので、海外からはインバウンドで外国人旅行客が殺到しています。これもオーバーツーリズムで、宿泊費が高騰し観光地が外国人で溢れて、京都など有名な観光地では日本人が旅行するのが困難になりました。インバウンドで日本が豊かになったという実感はありません。インバウンドで得た円は、ドルベースで値下がりしているのですから、ザルに水を汲むようなもので、観光業以外は直接豊かにはなっていません。 物価や人件費などで比較すると、1ドル100円くらいがまとものような気がします。このままの行き過ぎた円安は、賃金の上がらない日本(先日の労組の賃金交渉で発表された金額ではかすりもしません)では、これからもっと物価高に苦しめられることになるでしょう。先日も書きましたが、アメリカなどの時給は、円ベースで3000円を超えています。いかに円が安すぎるか理解できると思います。 今の円安は、経済や金利に左右されているというより、投資家が動かしているように思います。 輸入品の価格の高騰で、生活が苦しくなるのは必至です。日本の円が普通に評価されるように、政府には「注視する。」ではなく、「対策を実行する」ことを望みます。 |
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