今日も市議会本会議がありました。代表質問と個人質問がありました。午後3時から私が議長を務めました。
びっくりするニュースです。大津地裁が稼働中の高浜原発を停止する仮処分をしました。仮処分ですから即停止です。その理由に驚いたのですが、「原子力規制委員会の新基準をクリアーしただけでは安全性を証明するに不充分」というものです。この理由からすると、どの原発も日本では稼働できません。 「絶対安全であることを証明せよ」ということは、絶対不可能を意味します。どんな世界でも100%安全であることはあり得ませんから、「車が安全であることを証明しないと道路を走ることを禁止する」ということと似ています。また「道路が安全であることを証明せよ」と言われても無理です。 絶対安全であることを義務つけると、とんでもない責任論に発展します。
宇部市の新市庁舎建設計画には市庁舎は災害時の拠点になるからという理由で「建物の重要度係数を最高の1.5にする」となっています。これは、現在の建築基準法で定められた安全率の5割増しです。これは、建物の躯体(構造)費用が5割増しになることと同等の意味です。 建築基準法では、山口県は沖縄県に次ぐ全国で二番目に地震の少ない(地震に対する危険率と同じです)県となっています。また地元の人なら誰でも知っていますが、宇部市は、地震よりも台風と同時に発生する高潮への対策が重要です。数年前も、高潮で大きな被害がありました。 また新耐震基準は震度7相当のエネルギーに対して安全であることを基準としています。宇部市の近年の地震は震度3が最高です。もっと過去に震度4があったと聞きました。
しかし、建物の重要度係数を、建築基準法(昭和56年以降の新耐震基準)よりも大きい5割増しという数字が出た後は、これを下げても大丈夫だと言える人はいません。その証拠に東北大震災以降に建てられた全国の市庁舎は、一旦係数1.5をどこかの自治体が採用したら、「全国右へならえ」です。構造設計の専門家(構造設計一級建築士)であると自覚している私からすると、行政が金づるにされているようで笑っている場合ではありません。
「千年に一度もないかもしれないスーパー大地震に対し、ひび割れ一つ起きてはならない建築物にするために多額(たぶんこの影響の増額は十億円を超える)の税金を投入しても構わない」で、納税者の合意は得られるでしょうか。新しい市庁舎の耐用年数は100年と思っています。仮に千年持つことを想定するならナンセンスです。他人の税金だからこういうことが許せるのでしょうが、私だったら自分の家を建てる場合、こんな無駄な金は使いません。 建築基準法も安全基準です。東北大震災でも阪神淡路大震災でも、新耐震基準で建物が安全であったことは証明されています。しかし絶対安全であるとは証明できません。 構造計算の目的は、経済的の面も考慮しながら、安全基準を満たしていることを証明することです。いくら金をかけてもいいから丈夫にせよでは構造設計者として失格です。 市庁舎でも原発でも「責任がないからこういう無責任なことが言える」との批判もあるかもしれません。でも構造をよく知っている市議会議員としては、無駄な税金は使いたくないと主張します。
今日の大津地裁の原発停止命令のニュースを見て、素人の決定だと思いました。
ここは私の日誌ですから、本音を書きました。 |
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